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自由律俳句(61~80)


包んだ本音より先に溶けるオブラート

 

雨でもないのに傘を差す背徳

 

ハードカバーに夢を見ていた

 

「やっちまった」の顰めっ面の手に七味

 

これは繋がらないパターン

 

口元の不健康潰す

 

振れ合って移った袖色取りたくなかった

 

しにたいと呻く前に腹の虫が

 

目頭の熱さを誤魔化したくても目薬が

 

口の中を削っても味がしない

 

ウェットティッシュが乾いて鼻をかむ

 

スティックを舵にヨットで逝ったタフガイ

 

血統書も老いに負けて茶色

 

老いを背負うインコ人見知り

 

空の駅だけ立入禁止

 

思い出が空き家

 

気が晴れない日の晴天

 

ツギハギの道路の隙間で躓く

 

陰に生える草「お前とは違う」と言う

 

眼鏡の重さに耐えかねて外す