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自由律俳句(101~120)


ぼぅっとしても伸びる爪

 

小説の表紙に落ちた酒瓶の汗

 

アキレス腱に蚊の最後っ屁

 

扇風機と別れた延長コード物悲しく秋に似て

 

空のコンビニ弁当袋に詰めて昼寝

 

筋肉痛が翌日に出るまだ若い

 

呼吸器官に入った水の残留感

 

喪に服す家と目が合う

 

待ちぼうけている人の足取り

 

郵便屋さんが実家の更地を跨いでお仕事

 

プラスチックの臭いがする『無臭』

 

自分は考えすぎるのかと考える

 

部屋で立ち読むをする疲れた

 

店員に忘れられたフォークを拾う

 

また「山があるから登る」みたいなことを

 

電車を使うほどの都会でもない

 

聴けないラジオに葉書を送る

 

汗を撫でる風の季節だ

 

通りすがりの家の電話がうるさい

 

子どもがエレベーターの鏡と手遊び