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#twnovel(61~80)


61.

魔法少女は言いました。○○くんと結婚するって約束したから、魔法少女やめる。突然そんなこと言われても。使い魔は焦りました。君は偉大な大魔法使いの嫁。人間と結婚するなんて無理だ。魔法少女は笑いました。実は昨日の夜、人間のお嫁さんになったの。周りの子達より遅いけどね。

 

62.

廊下ですれ違う。街中ですれ違う。気付くまで君と、私は他人。気付いてるよ。気付いてよ。握った手を、もう一方の手で包む。雑踏に消える君。呼び止めようと駆け出す私。君の名前を叫ぼうと大きく息を吸い込み、この切なさ(君の名前)に、愛を込めて。

 

(#切なさの愛称)

 

63.

2月22日は猫の日らしい。人間てやつは、おかしなことを思いつくもんだ。「ミーコ!今日は何の日か知ってる?」朝から興奮気味の坊や。時計が七時を告げると、テレビの前に正座した。

 

坊やが猫の日に気付くまで、あと何年かかるだろう。それまでは忍者の日だって騒ぐのかねぇ。

 

64.

コンビニの駐車場で、鮫毛の猫を見かけるようになった。アスファルトのようにザラついていた毛は、飼い主から受けた虐待の跡らしい。その飼い主は数日前に何者かに襲われ、現在意識不明の重体。噂では虐待に耐えかねた猫が飼い主を。にゃあ。猫は牙を剥き出し、暢気にあくびをした。

 

65.

ヤギが手紙を届けるなら、アリは物語を運ぶ。初々しい葉物語。愛らしい蜜物語。どれも素敵だけど、スズメバチの戦物話はハラハラドキドキ。敵の亡骸を背に、大人は子供達に語る。外の世界の素晴らしさ、厳しさ、優しさ。それらを次の子供達へ語り継ぐため、アリは今日も物語を運ぶ。

 

66.

「こちら折本社のネットプリント配信部・異世界担当の… 」「あ、ウチまたやらしたん?毎回連絡してもろてごめんなー。今直して登録し直すさかい」 「いえー。念の為に全文再確認していただけると…」要訂正折本登録者への連絡係になって分かったこと。ドラゴンは関西弁が堪能。

 

67.

鳥が空に恋をしたように、貴方は物語に恋をしたのね。彼女が歌うように言う。「だってあんな真剣な顔で書くんだもの。恋じゃなきゃなんなのよ」彼女との時間を執筆に当てがちな僕を睨んだのは一瞬。それから呆れたように笑い、溜息。「これが本当の浮気だったら、一生恨んでやるのに」

 

68.

甘くとろけた背筋に噛み付けば、白く苦く何かが爆ぜる。もっと、もっと。せがむ口を、自然に落ちた椿の頭で封をした。両足は寒さで退路を絶たれ、両手は金色を掴み損ね空を切る。もっと、もっと。自分勝手でずるくて滑稽で。依存するしか脳のないこの身に、慈悲に及ばぬお情けを。

 

69.

左目の中で星が瞬いた。と思った瞬間太陽の黄色いオーラを纏い、武骨な三日月に変貌した。稲妻のように鋭く点滅しながら、三日月は私の左目を喰らっていく。左目の生涯に幕が下りる。と思った瞬間もまた何かが瞬き、三日月は跡形もなく消えた。稲妻のような頭痛だけが残った。

 

70.

輪廻転生から脱した私は、この世で唯一無二の存在となった。頭上では輪廻転生に囚われた人々が輪を成している。自分でなくなる恐怖はないのか。輪の人は言った。「何度でも愛する人に会えるんですもの。一人になる方が怖くて、寂しいわ」輪の周りは温かく、私の周りは寒かった。

 

71.

ちーちゃん、あん桜には近付いたらアカンよ。桜の花びらが積もると、他の子達はこぞって桜のベッドに飛び込むのに、私だけは祖母に止められた。桜の下にはえらいもんがある。行ったらアカン。結局祖母は教えてくれなかった。死人に口なし。祖母の口は私が生まれる前からなかった。

 

72.

「事実は小説より奇なりだな」夫はとある事件を報道するニュース番組を観ていた。「そうね。本の世界から出てきたみたい」応える私に息子が。「どうして?まだわるいやつをやっつけるヒーローがでてきてないよ?」息子の目は、絵本からあんぱん顔のヒーローが出てくると信じていた。

 

73.

少女は醜い老婆によって高い高い塔へ幽閉されてしまいました。その日から少女は髪を伸ばし始めました。いつか自分の髪を伝って王子様が助けに来てくれると信じて。

 

鷲鼻で隠した熟れた唇から吐息が漏れ、皺で隠した艶やかな肌が赤く染まる。老婆が少女を幽閉した理由。私の、私だけの

 

74.

「あたたかい季節は終わったのですか?」冬毛でまあるい体の雀が、ちっちゃいお財布を手に自販機を見上げていた。自販機はつめたい季節到来。このままでは雀が気の毒だ。「そういえばウチにあたたかい季節が残っていました。一緒にいかがですか?」

 

とっておきの桜茶でおもてなし。

 

75.

「飲みなさい坊や」「やだ。前は美味しかったけど、今は茶色くて不味そう」私は眉をひそめた。坊やがこれを飲むのは初めてのはずじゃ。確か人類が宇宙人に駆逐されて、地球に自然が蘇った時さ。坊やはカップを傾け、床に茶色をこぼした。「反省しない星に、飲む価値なんてないよ」 

 

(世界もう滅ぼしたい協会/#滅亡colors)

 

76.

飼い主の不注意で鳥籠から逃げ出したピーちゃんは、それ以来脱走癖がついてしまったらしい。辟易する飼い主の隣で早速、「こんなところにいたら独りよがりの馬鹿になっちまう!自分の世界が狭くなる!」ダミ声で騒ぐピーちゃんが、いっそ殺してくれ!と言わないことを願うばかりだ。

 

77.

勉強も運動もビリっ欠。そんな僕のあだ名は無冠の王。みんなみたいにトロフィーや楯が欲しいけど、すぐは無理だから自分で作ることにした。作成キットを買って、専用の粉に牛乳を一滴。これを毎日続ければ……。

 

『注意:牛乳はあっためて下さい。冷たい牛乳では王冠はできません』

 

(第48回フリーワンライ/使用したお題:牛乳はあっためて下さい・無冠の王)

 

78.

「あんたさ、目に見えないものって信じる?」「信じる」「どうして?」「どんな形してるか想像するのが楽しいから」「いないのに信じるんだ」「いないから信じたいんだ」いないから信じたい。叶わないから信じたい。そうだね。宝くじとか受験とか、こいつに対する私の想いとか。

 

79.

音がする。耳が鳴る。脳が鳴る。雑踏に紛れる。秒針が瞬く。私の脳に住みつき、ボタンを長く押し続ける。ツー。話中の音。私以外と話中の音。ツー。この音がやんだら、私と話してくれまいか。ツー。小さくて。ツー。耳障りで。ツー。気が遠くなりそう。ツー。……ツー、ツー、ツー。

 

80.

中高生を中心に『ハッシュタグ欠乏症』という病気が流行している。思春期で確立すべき自己を 『#ふぁぼした数』や『#RTした数』などの数字として明瞭化しないと落ち着かないらしい。自覚症状はなし。

 

【拡散希望】……と。さて、今日はどれぐらいふぁぼとRT稼げるかな。